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法人理念に基づいたシステム導入で業務効率化 利用者と向き合う時間をなによりも大事に

『ノーマライゼーション』を法人理念に掲げる社会福祉法人きらくえん(以下、同法人)様は、最初の特別養護老人ホームである喜楽苑が開設された1983年以来、この理念を具体化するため、「人権を守る」「民主的運営」を運営方針に、入居者・職員の人権を守る環境づくりを重視してきました。

2000年4月介護保険の施行当時、まだ世間ではあまり広まっていなかったケアマネジメントシステムを導入し、定期的に改正される制度に迅速に対応した効率的で正確な運営を行なうことで、利用者と向き合うことのできる時間を多く確保することも行なってこられました。ユニットケアが制度化された2003年度よりはるかに早く個室・ユニット化を実現した「いくの喜楽苑」、2001年に全室個室ユニット化を実現した「けま喜楽苑」には、今も全国からたくさんの見学者が訪れます。
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2004年7月、それまで施設ごとに異なっていたシステムを、内田洋行ITソリューションズ(以下、ITS)により4施設すべて「絆」に統一。さらに2007年6月には「絆Super人事給与」を導入し、各拠点で行なっていた処理を本部で一括して行なうことが可能になるとともに、法人事務局と4施設の計5拠点をインターネットVPNで接続することで機密性の向上を実現しました。
この事例では、同法人の理念や方針に基づき導入したシステムの詳細と実際の現場での活用例、同法人がITSの提案を採用されたポイントを紹介いたします。

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  • 施設ごとに異なっていた業務システムの統一
  • グループネットワークを構築し法人事務局および各施設を接続

導入の背景

-きらくえん様の法人理念と運営方針についてお聞かせください。-

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法人事務局長
中嶌 康之様

北欧で生まれた『ノーマライゼーション』の考え方を「きらくえん」なりに解釈して理念として掲げ、利用される方が自分らしい当たり前の生活を営めるよう支えていくことを喜びとしています。
その理念を実現するために運営方針としている「人権を守る」「民主的運営」は、言葉としては当たり前のことですが、利用者にも職員にも対等の立場で尊厳をもって接するという、「きらくえん」らしいポリシーであると思っています。
ユニット化のような先進的なケアを実践してきたことも、理念を突き詰めていけば当然のことでした。「人権を守る」という運営方針から、プライバシーを守り個別ケアができるユニット型個室を選択したという事です。また、利用者を支えている家族の方々に対して私たちが考えているのは、インフォーマルな関係の深まりですね。

きらくえんの活動、いわゆるフォーマルなサービスを利用されることで、専門的な面での理解を深めることができ、大変だった介護を分かち合って、より家族らしい関係を持つことができる。そして、私たちの介護もより深まる、という支援が特色ではないか、と思います。

福祉施設として地域に開かれた場所であることも、利用者の皆さんにとって新たな「生活の場」でありたい、という考え方からです。暮らしなれた地域で生活を続け、歴史や文化を伝えていただく一員としてつながりを持ち続けてもらう。周辺の住民の方々に様々なボランティアもしていただいています。
たとえば「いくの喜楽苑」では、生野町で廃れてしまっていた伝承の盆踊りの歌を利用者の方が口ずさんでいて、それを職員が聞き取ったことがきっかけで盆踊りを復活させました。今では生野町の恒例行事になっています。
そのような歴史をつないでいくという実感を職員も体験しながら、一方で介護も行ないながら、単に命を支える、出来ないことを支える、というだけではなく、地域をいっしょに支えていく、ということが「きらくえん」の実践です。

導入のポイント

-「絆」導入前に問題に感じられていたことはなんですか?-

導入前は他社のシステムを使っていましたが、各施設の端末に手書きのケア記録をさらに転記して入力する、という業務体制でした。各施設で違う介護ソフトを使っていて、情報の共有が難しく統一性が求められていた、という背景がありました。法人本部が意見をとりまとめながら導入の検討をしました。
その時点では、手書きの煩雑さ、過去の記録の参照、紙媒体の量の多さ、といった問題の解決が課題として上がっていました。

-検討の結果、「絆」の導入を決定されたポイントは何でしたか?-

6社の中からコンペ形式でITSさんを選定しました。ユーザー目線の提案があったことがポイントでしたね。実際に使う立場に立った対応をしてもらえるかどうか、という視点で選定させてもらいました。業者さんの対応でときどき感じることですが、あまりにも自社製品に自信を持っているため、システム本位に「こう使ってください」という提案になり、マニュアルに沿った利用しか出来なくなることがあります。

ITSさんには、今でも現場の声を製品の向上に役立ててもらっています。双方向の関係として、現場で利用して使い勝手をお伝えして、それをITSさんが形にしてシステムの品質を高めていく、スムースなコミュニケーションが出来るという点でITSさんを評価しています。

-導入にあたって課題や不安、問題点はありましたか?-

ノートパソコンを現場に持ち込み、ケアをしながら操作をするという業務体制に移行していく中で、生活の場でパソコンを取り扱うということに課題があると感じていました。また、他社システムから「絆」にデータ移行することも重要なポイントでした。職員が移行作業を行なうことは日常の業務との兼ね合いで困難でしたので、タイピング専門のアルバイトをお願いしました。ITSのスタッフさんにも一部協力してもらいました。
当時は、あまりパソコンの操作が得意でない職員もいましたし、入力業務に手を取られて現場のケアが手薄になる、という懸念もありました。事前の指導を慎重に進めてもらいました。

導入後の効果

-「絆」導入によって、きらくえん様の業務は改善されましたか?-

システムを同じものにできたことで、法人内で業務を統一することが出来ました。紙に手書きすることも減り、データ化が進んだことで情報の共有も進みました。それによって過去のデータの洗い出しも効率的に行なえるようになりました。また、現場での入力が可能になったことで、時間外労働も減らすことができました。

-2007年に導入された人事給与システムとグループネットワーク環境についてお聞かせください。-

以前は、施設間で異動があったときに、前の施設から履歴書をFAXで送ってもらっていたのですが、人事給与システムの導入により、入職時に職員のデータを入力しておけばどこからでも呼び出すことが可能になり、大きな改善となりました。
導入以前は人事システムが不完全でした。職員の有給休暇や勤怠の管理を連動して行なえるようになったことで、効率化をはかることができました。また、運営面から見て重要な介護福祉士の資格をもつ職員の配置についても、容易に確認できるようになりました。
採用など人事の業務を法人本部で一括登録できるようになり、施設での事務的な業務は少なくなりました。本部と現場の役割分担がはっきりしたと思います。
本部で給与の入力作業を一括して行なうようになって、各施設で入力方法の違いがあったものが統一されたという効果もありました。ITSさんに規程を見てもらい、手当など細かい点も設定してもらいました。
法人本部と施設間がネットワークでつながったことで、ファイルやフォルダの共有が楽にできるようになりました。それまでは決算時に、データをフロッピーディスクに入れて持って行ったり、郵送したりしていましたから、セキュリティ面からも改善されました。
ウィルス対策ソフトも一括で導入しましたから、更新作業も含めコスト削減に役立っています。

あしや喜楽苑 事務部長
溝口 環様

今後の展開

-きらくえん様からITSに期待することはなんですか?-

万が一の災害時の対応について、相談を続けています。データを保護するバックアップ・システムがあれば、アクシデントの際の不安が軽減されるだろうと思います。間もなく職員が1000人にもなろうかという法人ですので、徹底していくべきだと思っています。
iPadやスマートフォンなどの利用についても、有効な活用法があるのでしょうが、まだ私たちの理解が及んでいないと思います。通信環境やセキュリティの課題がクリアできて、現場の支援になることでしたら、今後提案していただきたいと思います。
しかし、現在のシステムですら「使いこなす」あるいは「使い切る」ところまで至っていないと思います。現場が理解している状況を見ながら、今後もITSさんのタイムリーな対応を期待しています。私たちとITSさんとの相互協力によって、システムの品質をより高めることが出来れば、お互いのメリットとなりますね。

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ユーザー様プロフィール

法人名 社会福祉法人きらくえん
代表者 理事長 市川 禮子
資本金 7億4,410万円
創立 1983年1月20日
事業内容 兵庫県下の尼崎市/芦屋市/朝来市/神戸市において特別養護老人
ホームを中心にケアハウスやグループホーム、デイサービスや
ヘルパーステーション等の在宅サービスを含め約100事業を運営
ウェブサイト http://www.kirakuen.or.jp/別画面にて開きます

2012年7月取材(記載内容は取材時の情報です)