2016/09/08 セミナーレポート

食品表示基準とその対応について

食品表示基準セミナー

目次
1.食品表示法と食品表示基準
 - 栄養成分の表示方法
 - アレルギー表示方法
 - 表示レイアウトの改善
 - 食品表示(原材料名・添加物)の具体的作成方法
 - 規格書収集時の注意点
2.食品表示法施行に向けての必要な対策
 - 現状業務分析:課題点
 - システム化による改善
2015年4月1日食品表示法が施行され、栄養成分表示の義務化、アレルゲン個別表記、表示レイアウト改善などの対応が求められています。
本セミナーでは、日本人の生活・暮らしを科学・研究し、得た成果を消費者、企業、メディアに発信し「フジテレビ商品研究所」の通称で親しまれているエフシージー総合研究所の阿由葉様より、「食品表示法とその対応について」詳細内容、対応方法、他社動向などをご案内いたします。
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エフシージー総合研究所 企画開発部企画開発室 阿由葉光幸 氏

食品表示法とは

 食品業界の大きなトピックスとして、昨年4月に施行された食品表示法があります。
食品表示を所管する消費者庁が、ばらばらだった表示に関する法律を1つにまとめようということで始まりました。

 元々の食品衛生法、JAS法、健康増進法では、それぞれの目的のために表示のルールが定められており、食品表示を作ろうとすると、それぞれ確認しないと表示を作ることができない状況でした。
さらに、食品衛生法は衛生に関するきまり、JAS法は品質に関するきまり、健康増進法は保健に関わるきまりというように、それぞれの役割が異なりますので、区分などの違いにより混乱が生じていました。
食品表示の部分を1つにまとめたのが、昨年4月1日に施行された食品表示法です。

食品表示に関係する法律は、これだけではありません。
「米トレーサビリティ法」「計量法」「容器包装リサイクル法」など、さまざまな法律で規定されていて、必要な事項を組み合わせて表示を作ります。
複雑なルールを少しでも分かりやすくしようというのが今回の一元化の目的です。

 食品表示法だけを読んでも実際には表示を作ることができません。
下図にも記載がありますが、細かい規則は「食品表示基準」に定められています。

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実務担当者は、まず「食品表示基準」を読むことになりますが、消費者庁から出されている食品表示基準に関係する通知等の文書(食品表示基準、食品表示基準Q&A、食品表示基準について、栄養表示のためのガイドライン)は、2,000ページ近くになります。
全てを読み解いて完璧な表示を作成することは難しく、包材の在庫の都合などもありますので、経過措置期間が設けられました。
加工食品は5年間、平成32年3月31日までに製造されるものまでが経過措置となります。
生鮮は大きな変更が無いことから、経過措置期間は平成28年9月末まで販売されるものとされています。

最終的には3つの法律を一元化するだけにとどまりませんでした。
例えば、農薬混入事件の影響で製造場所を明記するルールが加わり、アベノミクスの絡みで生まれた「機能性表示食品」が盛り込まれ、少し複雑な法律になりました。

栄養成分の表示方法

 今回、加工食品の栄養成分表示が、これまでの任意から義務になりました。
猶予される場合もありますが、工場で生産される容器包装された食品は義務となります。

 以前の栄養表示基準と変わったものがナトリウムの表示です。
「食塩相当量」という表示に変わりました。
消費者庁は、国民が健康になれば、社会保障費が減らせるといった効果があると考えています。国民に栄養素等の役割を知ってもらい食生活を改善させることが、栄養成分表示の大きな役割です。

 中高年になると、お医者さんから「食塩を減らしなさい」と言われるようになります。
その時に、食品にナトリウムで表示されていると、ピンときませんし、分かにくいです。
この表示方法の変更は、お医者さんから「1日に摂る食塩は6グラムまでにしなさい」と指導を受けた人が、すぐに把握できるようにするためです。
食塩相当量はナトリウム量から換算することができます。
ナトリウム塩を添加していない食品に限ってナトリウムでの表示が可能ですが、通常は食塩相当量での表示となります。

 さらに栄養成分表示の見直しについて言うと、日本人の食事摂取基準が5年ごとに見直されて、摂り過ぎの傾向がある「飽和脂肪酸」と不足しがちな「食物繊維」に注意することが求められ、表示も推奨されることになりました。
飽和脂肪酸は脂質の内訳になりますので、1文字下げるなど脂質の内訳であることが分かるようにして、「飽和脂肪酸」と表示します。
食物繊維は炭水化物の内訳とし、糖質もあわせて表示します。食物繊維と糖質の合計が炭水化物です。
義務ではないため、情報が揃ってから表示を始めます。

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 「推定値」、「目安」と書かれていますが、栄養成分表示で重要なところです。
栄養計算で求めた成分値と実際の栄養成分値とは差があります。
加工食品はいろいろな製造工程を経て製品になります。加熱調理では水分が蒸発しますので、足し算をしただけでは値に差が出てしまいます。
ガイドラインでは実際の栄養成分に近づくような計算をすることを求められています。
以前の栄養表示基準は、元々分析値のプラスマイナス20%以内の誤差の許容範囲に収めなければいけないという厳しいルールでした。
それでは違反が怖くて表示ができませんので、「推定値」とか「この表示値は、目安です」といった文言を付記すれば違反とならないように改正され、ようやく安心して計算値での表示ができるようになりました。
この文言がないと分析値と判断されて、許容範囲から外れると違反になります。
分析されていれば良いのですが、季節の違い等で変動しますので注意してください。

 「栄養強調表示」をする場合は注意してください。
栄養成分を強調する食品は、誤差の許容範囲に入っていなければいけないので、分析してデータの平均を取るなどする必要があります。
栄養機能食品、機能性表示食品といった保健機能食品も、誤差の許容範囲に入っている必要があります。

 栄養計算は、日本食品標準成分表などの既存のデータや原料メーカーから得た分析値を用いて計算します。
日本食品標準成分表になければ、同じような食品の成分値を参照しますので、いろいろな値が混じった計算になります。詳細は消費者庁のガイドラインに出ていますので、参考にしてください。

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アレルギーの表示方法

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 今回、法律に明確に書かれたのが、アレルゲンの表示は、原則、個別表示ということです。
原則なので、上図右部にある「一括表示」も許されています。
事情がある場合に許されるという条件付きですが、事業者判断で表示可能です。

 個別表示は、原材料ごとに含まれている食品のアレルゲンを全て書き出すことになります。
食品の場合は「○○を含む」という書き方です。添加物も含まれるアレルゲンを書くことになりましたが、「乳由来」「大豆由来」といった書き方になります。
「乳」は、食品の場合は「乳成分を含む」という書き方ですが、添加物の場合に「乳成分由来」という書き方は日本語的におかしいので、「乳由来」という書き方になりました。
以前の「乳」だけの表示から変わったのは、例えば添加物の乳化剤の「乳」という文字によって乳を含んでいると勘違いされることがあったので、「乳成分」と表示することになりました。
 個別表示の場合、すべてを書き出すと文字数が増えてしまいます。
スペースが不足するとラベルやプリンターを替える必要などが出てきてしまいますので、文字数を減らすために省略規定があります。同じアレルゲンは2度目から省略することができます。
同じ食品に1ヶ所表示されていれば、アレルギー疾患の患者さんは食べないと考えて、省略が認められています。

 省略規定により文字数が減らせますし、代替表記であればさらに文字数を減らすことができますが、問題がないわけではありません。
アレルゲンがバラバラに出てきますし、代替表記が見落とされるかもしれません。
 この点では、従来から認められている一括表示にメリットがあります。原材料表示の最後に「一部に」で始めて全てのアレルゲンを書き出す方法です。ここを見れば、全てのアレルゲンが分かります。

 個別表示と一括表示にはそれぞれに良いところがあります。
個別表示はアレルゲンの入った食品を避けて食べないで済むというメリットがあります。
ただ、お弁当などは容器内で混じってしまう恐れがあります。どちらを選択するかは事業者の判断となります。
ルール云々というより、誤認による事故が起こらないようにするにはどうしたらよいかを考えて表示を作ることが大切です。

 新基準では、特定加工食品が廃止されました。
例えば、マヨネーズには卵が入っていることを前提として、マヨネーズの記載があれば「卵を含む」と書かなくてすみましたが、「卵を含む」と明記することになりました。
特に注意が必要なのは、卵白、卵黄です。「卵を含む」と考えるかと思いますが、「卵黄」の記載がなく「卵白」だけ書かれていると卵黄アレルギーの人が食べてしまう可能性があります。卵白と卵黄を完全に分離することは出来ませんので、「卵を含む」と書く必要があります。
新基準で特定加工食品が廃止されたことを忘れて表示を作ってしまうと、表示しなければいけないアレルゲンが表示から落ちてしまいます。

表示レイアウトの改善

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 これまで一括表示の原材料表示は、原材料の後に添加物を続けて書いていましたが、新基準では食品と添加物の区分が分かるようにしなければいけません。
例えば、上図のように「原材料」「添加物」の枠を分けて書く方法は一目瞭然です。
但し、広いスペースが必要となります。
次の方法は、「改行」です。改行の場合は、原材料が右端まであると、改行しているのか改行していないのかが分かりにくくなります。
 多く導入されている方法は、原材料と添加物の境目を「/」で区切るという方法です。
区切り記号は「/」でなくても良いのですが、区切りを明確にするというのが今回のルールです。
これが新表示の目安となるので、新表示にする際は必ず区分が明確になっているかをチェックしてください。

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 原材料と添加物を分けて重量順に並べるということが表示のルールになった時、複合原材料中の添加物をどのように扱ったらよいかという疑問が出ます。
原材料から添加物の重量を差し引いて、食品と添加物を重量順に並べることが考えられるかもしれませんが、添加物の使用量は微量であることが多く、実務的に難しいです。
原材料と添加物の重量順表示については、原材料は添加物を含んだ重量で順番に並べてよいのです。これは明文化されていませんが、覚えておいてください。

表示レイアウトの変更点をチェックする

 表示レイアウトについての変更点についてお話します。
変更箇所を確認していただくために下図の写真を出しています。
原材料と添加物の区切り記号として「/」を入れます。
アレルゲンの表示は、「原材料の一部に」という表示から「原材料の」という文字を取ります。
アレルゲンが複数ある場合のアレルゲンとアレルゲンとの区切り記号は「・」です。

栄養成分表示は、「1包装当たり」ではなく、「栄養成分表示」と表示します。ナトリウムは食塩相当量で書きます。

 新基準への移行は、全ての変更を同時に行う必要があります。
食品と添加物の間に「/」を入れる、アレルゲンの一括表示を「一部の」で書き始める等のうち、一部だけ採用すると違反となります。

 注意が必要なのは、アレルゲンの一括表示です。
アレルゲンの一括表示は、旧基準では原材料の中に特定加工食品を含めてアレルゲンが表示されていれば、重複するものは省略できました。
新基準で表示をする際に間違って旧基準のまま省略してしまうと、新基準の一括表示では全てのアレルゲンが記載されていると知っているアレルギー疾患の患者さんが、省略されたアレルゲンが含まれていないと誤認したら、発症してしまう恐れがあります。

消費者が新基準とみなすような表示をしたら、新基準のルールになっていることが重要です。新表示に移行する際、1つの商品の中で新旧の表示が混じらないことに注意して作業を行ってください。

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食品表示(原材料名・添加物)の具体的作成方法

 表示する順番は区分で考えます。それぞれの食品について、原材料に含まれる食品などの配合量は掛け算で求められます。
親の原材料に対する配合比率がわかれば、親の従量に配合比を掛け算すると、個々の原材料の重量が分かり、表示位置が決まっていきます。
 あと、下図で「表示は足し算」とあるのは、同じ区分のものは足し算をして重量を求め、表示する位置が決まるということです。

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重量順は、区分で考える

個別の表示のルールが定められた食品ですので、該当しない方はピンと来ないかもしれませんが、区分を1つの固まりとしてみなすというルールが決まっている食品は、その区分単位で表示します。
下図の例のチルドミートボールは、区分ごとの重量で比較して重量順に並べるというルールがあります。
重量順ではなく、決められた順番に書く食品もあります。農産物漬物といったものが該当します。

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複合原材料の「一般的名称」を上手に使う

複合原材料の一般名称の上手な使い方についてお話します。
限られたスペースで、いかに消費者に食品の原材料情報を伝えたらよいか。ルールどおりに表示すると、長くて分かりにくいことがあります。
お弁当などの品目が多いものは含まれている材料を並べて表示すると表示が長くなってしまいますので、一般的な名称を活用するとよいでしょう。

何が入っているかを売り場で見て判断する際、一目で分かったほうがよく、ルールで許されている範囲でわかりやすいように短く記載します。
お弁当の場合、究極を言えば「ご飯」「おかず」と書いて、文字数を減らすことができます。
さすがに「ご飯」と「おかず」だけの表示はお客様に対して不親切ですが、「わかりやすい」ことを重視すれば、適切に短くしたほうが親切な表示になるということを覚えておいてください。
焼き鮭に続けて括弧書きで鮭、食塩を書いてもあまり意味がありません。
表示を機械的に作ることよりも、手間は掛かりますが、知恵を使うことで見やすく分かりやすい表示になるという例です。

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規格書収集時の注意点

今回の変更で、栄養計算による栄養成分表示をするために、原材料メーカーから栄養成分の情報をもらわなければいけなくなりました。
一般的に「規格書」と言われるメーカーが作る情報を集め直すことになります。

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 図に「規格書に、社外秘があったら、最終製品の表示を作ることができない!」と書きました。
教えてもらうのが前提ですが、なかなかうまくいかないのが現状です。
どうしても「社外秘」が出てきます。これにはシステムを作る側も非常に苦労します。
複数の原材料を配合した製品の表示は、それぞれの原材料に含まれる重量が分からないと、重量順に並べることはできません。
この点はQ&Aの中でも最終工程での重量の順番が分からないものは、きちんとメーカーから情報をもらわないと表示は作れませんと示されています。
それを理解の上、協力を仰ぐようにしてください。
必要であれば、秘密保持契約を結んで教えてもらいます。そのぐらいの姿勢で対応してください。

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 社外秘であっても、添加物で一括名表示が許されているものに関しては、物質名、配合比が分からなくても製剤としての重量がわかれば、重量順に並べることができます。
 下図にある酸味料の場合、クエン酸、コハク酸、食品素材の内訳は分からなくても、酸味料製剤の80グラムで酸味料の表示位置が決められます。

 但し、調味料は、アミノ酸、核酸、有機酸、無機塩の内訳が必要となりますので、該当しません。
 一括名で許されるものは、下図の枠内のものになります。

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 規格書に基原原料も書いてくださるメーカー様もいらっしゃいますが、通常表示されることはありません。原料管理をしっかり行うために必要であれば、情報を集めればよいと思いますが、比率が分からなくても表示には困りません。
 キャリーオーバーや加工助剤といった表示が免除される添加物も表示に出ません。
お客様の問い合わせに対応するために知っておきたいということであれば情報収集は必要です。

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食品表示法施行に向けての必要な対策

栄養計算に必要な原材料の情報が揃わなければ、分析することになりますので、情報を集め直すか、分析をするか決断が必要です。
分析には費用が掛かりまので、予算組みが必要となります。

表示する情報の量が増えれば、ラベルのレイアウトが変わりますので、プリンターの買い替えが必要になるかもしれません。現在のハードで新基準に対応可能か検討してから移行する必要があります。

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現状業務分析:課題点

 食品業者様の現場では、表示以外にも多くのシステムを使われていると思います。
様々な作業や仕組みがあると、それぞれ何人も手をかけられないので、「作業の属人化」が始まります。
担当者しか分からないということが増えて、ミスが多くなったり、その人が休みになると作業が抜けてしまったりします。
皆さんもどこか心当たりがあるかもしれません。

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システム化による改善

 システム会社は解決策として担当者の持つノウハウや手計算したりしている作業をシステム化、データベースで情報を管理するということを提案します。
 システム化により一連の流れがしっかりとプログラム化されることによって、業務が軽減され、担当者の急な休みといった緊急時でも継続して事業を継続することができます。

 食品表示基準のお話を進めてまいりましたが、十分な説明ができておりません。現時点で解決していないこともあります。
特に製造所固有記号はこれからのところがほとんどです。これから対応しなければいけないことがたくさんあります。
本日のお話しで少しでも皆さんの業務の軽減ができればと思います。

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今回、講演いただきました株式会社エフシージー総合研究所が提供する食品リスク管理システムに、ご興味のある方・詳しい情報を知りたい方は、食品リスク管理システム「そうけんくん」のWEBサイトをご覧ください。
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 講師ご紹介 

エフシージー総合研究所 企画開発部企画開発室 阿由葉光幸 氏

エフシージー
【会社概要】
エフシージー総合研究所は、フジサンケイグループの調査・研究機関が統合され、1985 年に誕生しました。
以来、一貫して日本人の生活・暮らしを科学・研究し、得た成果を消費者、企業、メディアに発信し続けています。