2016/10/18 セミナーレポート

在庫マネジメント事例紹介 「商品管理の考え方と在庫データ分析の実際 重点管理品と適正在庫量を求めてみませんか!」

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中小企業診断士・ITコーディネータ 星野 雅博 氏

「商品管理の考え方とは?」「重点管理品は何か?」「在庫データ分析とは?」「適正在庫量はどれくらいか?」こんな疑問にお応えする、在庫管理プロジェクトの運用例を4つのケーススタディにてご紹介します。
ケーススタディ1:商品の品揃えはどのように決めるか?
ケーススタディ2:食品などの品揃えの改廃が激しい商品
ケーススタディ3:季節変動のある需要予測は可能か?適正在庫量は?
ケーススタディ4:棚配列の整理:物流センター内ロケーション管理の強化
目次
1.IT活用経営がCRM・SCM・ERPを進める
- 1-1 在庫物流システムは企業発展の要
- 1-2 在庫物流管理のレベルアップ段階
- 1-3 在庫マネジメント(CRM・SCMのカギを握る在庫・生産仕入管理)
2.ケーススタディ1 「商品の品揃えはどのように決めるか?」 取り扱い品目決定の例
- 2-1 在庫品目の決定(分けて考える:在庫範囲の決定・取扱品目の整理…品揃えを考える)
- 2-2 発注方法や在庫規模の決定(適正在庫量とは?)
3.ケーススタディ2(食品など品揃えの改廃が激しい商品)
- 3-1 グラフでは読み取れないABC分析の例(食品・パンの例)
- 3.2 クロス集計による位置把握(列項目に発売期間、数値を売上数とした)
- 3.3 ポジショニングマップ分析と商品改廃ルール(「仮説」と「検証」にもとづく取扱アイテムの絞込み)
4.ケーススタディ3 (季節変動のある需要予測は可能か?適正在庫数は?)
- 4-1 時系列で考える(12ヶ月移動合計の推移で今後の伸びを予測)
- 4-2 季節変動を求める
- 4-3 各月の販売予測数と適正在庫予測数を求める
- 4-4 参考:トレンドを予測する時系列分析
5.ケーススタディ4 (棚配列の整理:物流センター内ロケーション管理の強化)
- 5-1 出荷伝票分析による動線分析の例(カテゴリー別出荷量や併売傾向の分析)
- 5-2 参考:アソシエーション分析で同時出荷分析を行った例
6.在庫マネジメントのまとめ

1.IT活用経営がCRM・SCM・ERPを進める

私は中小企業診断士として、企業データの経営への生かし方についてご支援しています。
本セミナーでは、事例のご紹介とともに “経営戦略に基づいた” 在庫マネジメントについてお話します。
昨今、「ビッグデータ」という言葉をよく聞かれるかと思いますが、企業の中のデータのことをセクシー・リトル・ナンバーズと言います。
データ量は少ないけれど魅力的なデータだという意味です。

まず自社の財産であるデータをうまく活用して、生産性向上のための「コスト削減」「売上の拡大」を目指してみませんか。
その中の1つである在庫物流システムにフォーカスしてお話を進めます。

 

1.1在庫物流システムは企業発展の要

①欠品・納期遅れを無くす事による販売効率のアップ
サービス向上・顧客満足度向上につながり、売上の拡大 → 機会損失の防止
②最適な発注手配による無駄な在庫の撲滅
適正在庫、デッドストックの整理による在庫削減 → 経費の削減
③結果として利益率のアップ
企業に継続的余力を生み出し、事業拡大の基礎固め → 企業の成長

 

1.2在庫物流管理のレベルアップ段階

在庫マネジメントというのは、単なる在庫コントロールではなくて生産や仕入れの管理も考えなければなりません。生産計画や仕入計画、需要予測まであります。
私もいろいろ試してはみましたが、営業の “KKDD” 、“勘” と “経験” と “度胸” と “妥協” で、だいたい間に合っています。そこを多少数字で裏付けられるならいいという程度です。

在庫物流管理のレベルアップ段階

1.3在庫マネジメント(CRM・SCMのカギを握る在庫・生産仕入管理)

在庫の話では、PDCAサイクル(プラン・ドゥ・チェック・アクション)を回そうとよく言われます。

 

2.ケーススタディ1 取り扱い品目決定の例(商品の品揃えはどのように決めるか?)

1つ目の事例は新潟の金属雑貨問屋です。
洋食器で有名な燕市の隣の三条市にある打ち刃物、和包丁で有名な家庭用の金物雑貨卸問屋です。
取扱品目の増加とともに、在庫も増えていてキャッシュフローが少し悪いと言われました。
仕入れ部門のトップは「お客様に迷惑をかけずに欠品を現状以下に抑えろ。でも、在庫は適正な範囲にとどめろ」と言っています。
欠品もせず(在庫把握)、在庫も増やさない(適正在庫)というのを同時に実現するのは、実際難しいことです。
まずは、売れ筋、死に筋を調べるために売上の状況を見てましょう。
ただ単に順番に並べるだけではなく、商品を二次元に配列して、商品の位置付けと意味付けをします。これをポジショニングといいます。
ポジショニングによって取扱品目を決定し、品目ごとに、在庫するのか、注文のあるときにのみ手配するのか、在庫品目はどれくらいにするのか、適正在庫を考えます。

考え方の手順

1.適正在庫の把握の前に、売上情報を分析して売れ筋死に筋を把握する

2.商品の位置づけ(ポジショニング)を把握する

3.ポジションによる取り扱い品目の決定と、アイテム毎の在庫品か注文品かの決定

4.適正在庫数量の決定

 

2.1 在庫品目の決定(分けて考える:在庫範囲の決定・取扱品目の整理…品揃えを考える)

具体的に見てみましょう。下図はフライパンの品目を売上高順に並べたグラフです。品目を3つに分け、A、B、Cとしています。
この事例では、2割ぐらいの商品で50%の売上を上げています。これをAとしました。Bはその次でAと2つ合わせて8割になるものです。
残りの売れた履歴のある物をCとして表しています。Zというのは全然荷動きがなかったものです。

このように企業が蓄積するデータ資産を抜き出して,経営に役立つ情報として有効活用することをBI(ビジネス・インテリジェンス)と呼びます。
この場合は売上金額の多い順に品目を並べ、売上を順に足した売上累計と累計比を示したグラフです。また、下の表では月の伝票の枚数を入れてみました。
伝票の枚数、得意先の数、出荷日数など、売上とは直接関係ない数字が入るとおもしろいことができます。
こうしてABCZに分け、A商品は主力ですから切らしてはいけません。Bは準主力品です。次のAランクを狙うものなのか、そろそろ下がるものなのかを整理していきます。Cは新しい商品なのか、死に筋でカットするものなのか。Zで荷動きが全然なければ早急に整理する必要があるという話になるでしょう。

2.1.2 クロス集計による位置把握(ポジショニングマップ、クロス集計表)

ABC分析まではよくやりますが、別の項目を表にするともっとおもしろいことが見えてきます。今回は1年間の伝票枚数を12で割って月に平均何回注文が来たかを出し、これを表にしました。列は売上金額順の商品としていますが、出荷日数や得意先の数で見てもおもしろいです。あとは地域とか部門とか年月なども集計できます。
先ほどABCにランクしましたが、ここでも週のうち2回以上注文があるのをさらにAという分類にしました。次に月のうち2回ぐらい注文があるのはB、月に1回注文があるのはCにして、先程の売上金額別のABCと組み合わせ、商品をAAからCCまでに表分けをします。そうすると意味が出てきます。
単価の安い商品はCAに来る可能性があります。売上金額は上がりませんが、頻繁に注文が来るとすればCAです。C商品だからといって欠品してはいけないということです。このCAは意外と見逃しがちですからキッチリ押さえておきましょう。AAはだいたいわかってますから、このCAと、注文回数は少ないが意外と売上高が高いACとBCが実は重要なところです。
次に、CCをどうするのか。多少は売れているが年に何回も売れない。卸ですから同じような商品はいっぱいあります。他で代替してもらおうかとか、整理するかしないか、Z商品も含めて考えます。
こういうのをポジショニングマップとかクロス集計表といいます。ただ単に売れてる・売れてないだけではなくて、どうしてという理由がわかるような形にマッピッングすることがとても重要になってきます。

 

2.1.3 出荷頻度分析表から全体を眺める(キーワードは出荷日数)

以下どのように解決したかはダウンロードにて当日の資料を御覧ください。

 

3.ケーススタディ2 (食品など品揃えの改廃が激しい商品)

【ケーススタディ2(パン屋さん)】
2つめのケーススタディは、東京の豊島区・板橋区あたりにパン屋さんを展開している会社からヒントをいただいた事例です。もともとはパン屋にPOSレジを導入できないかという案件であり、結果的にPOSレジの導入には至りませんでした。ただ、商品の改廃について、どういう種類の商品をどのように改廃したらいいのか、ルール作りの方法で悩んでいらっしゃいました。
そこで、売れ筋の状況などを、売上データで分析してみました。クロス集計をどうやってやろうかという話になり、販売期間で集計してみました。
今日から遡って月単位で整理し、どのような傾向がでるか集計いたしました。しかしながら、結果はバラバラで、数もそんなに極端ではないし、差もありません。要するに食品は、欠品したらほかのものを買うか、ほかの競合店へ行くか、いつもこの状態なら評判悪くて店の信頼を失うところです。商品の寿命はどうするんだろうという話になりました。

以下どのように解決したかはダウンロードにて当日の資料を御覧ください。

4.ケーススタディ3 (季節変動のある需要予測は可能か?適正在庫数は?)

【ケーススタディ3(ワイン商社)】
つぎの例はワインを輸入している商社さんです。話があってもう16年か17年くらい経っています。その当時ようやく日本でもスパークリングワインが売れてきた頃で、まだどのくらい売れるのか、季節変動がありすぎてよくわからない。これを予測できないかと言われて、いっしょに考えました。売れ行きで見ると10、11、12月だけ売れます。今でもその傾向はあるようです。
こんなに変動のある商品を、どうやって来期の予測をすればいいか。しかも注文してすぐ入ってくるものではありません。みんな船で持ってきますから、発注して入ってくるまで2、3ヶ月かかります。

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以下どのように解決したかはダウンロードにて当日の資料を御覧ください。

5.ケーススタディ4(棚配列の整理:物流センター内ロケーション管理の強化)

【ケーススタディ4(物流センター)】
最後、これが一番難しく未だにうまくいったかどうかわからない事例で、物流センターを作る話で建設のコンサル会社さんに呼ばれたケースです。物流センターの大きさもだいたいわかり、棚もどんなふうにするか決めたけれど、どんな棚の配置にしたらいいか。どんなふうに荷物を置いたらいいのかもアドバイスしてくれと言われました。
倉庫のレイアウトでは、作業者に「探させない」、「歩かせない」、「判断させない」。これが出荷作業の効率化につながります。先ほどの大阪の事例はまさにこれでした。ピッキングエリアをきれいに分けて、どこに何を置いたら効率がいいのかを考えようという話になりました。あまりうまくいかなかったのですが、こんな話です。

以下どのように解決したかはダウンロードにて当日の資料を御覧ください。

6.在庫マネジメントのまとめ

【まとめ】
最初に言ったように、プラン・ドゥ・チェック・アクションとよく言いますが、そうではなく、チェックとアクションが先に入ります。
まずは現状を分析して、改善点を見つけましょう。次に具体的な改善策を考えていきます。できる範囲でやってみましょう。無理をしない程度でちょっと背伸びしてやってみましょう。
その具体的な改善案からプランを立て、全社的にそして行動に行動に移します。これをちょっと頭に入れながら、ぜひ本当にみなさんがお持ちのリトル・セクシー・ナンバー、自社の魅力的な溜まったデータを整理してみてください。そうすると非常におもしろい結果が出てきます。基本的に改善はイノベーションです。今日の結論は、データ分析しておしまいではありません。データ分析したあとで、どうやって直すかを考えて欲しいのです。
失敗はつきものです。Fail Fast、素早く失敗しよう。
アメリカのベンチャーの合言葉です。Fail Fast、Fail Cheep、Fail Smart。有名なエリック・シュミットという、グーグルの元会長さんの言葉です。
アメリカは失敗してもすぐ再建できます。失敗したやつほど賢いと言われています。素早く損害の小さいうちに賢く失敗するのが上手な失敗の仕方です。ぜひ身につけてください。
データ分析をして改善案を全社に周知してやってもらう。そのときのリーダー役になる方が苦労だけど、失敗してみてください。
そうするとどうすれば間違いがなくなるかよくわかります。1回も失敗せずにうまくいくなんてありませんから。
この事例だってきれいごとをずっと並べているようですが、そんなに簡単ではありませんでした。
データを整理するのも実は簡単ではありませんが、どんどん試してみてください。それで失敗してみてください。
最後はポジティブな姿勢、中長期的な目線、素早い適切な「火消し」、この3つを兼ね備えた方がリーダーですが、まずはやってみてください。
ぜひ失敗しながら前進してみていただけるとよろしいと思います。

 

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 講師ご紹介  中小企業診断士・ITコーディネータ 星野 雅博 氏
民間企業数社にて製造設計・開発に携わり生産管理システムの開発設計や工場や倉庫内の管理にも従事。その後中小企業診断士として独立・開業し、中小企業大学校での特別指導員、客員講師を歴任。中小企業企業総合事業団・情報化アドバイザー等を通し、中小企業におけるコンサルティングを行う。
平成15年頃から公益財団法人にいがた産業創造機構(NICO)のインキュベーションマネージャーとして新規創業者の支援を行い、今までに30社超えの起業支援実績がある。
特に情報・通信分野を担当し業務系情報システムの利活用だけでなく、組込みシステムの研修とその普及に注力、その後のIoTへの活用を支援、またクラウド系アプリ研究会を立ち上げSaaSアプリ、スマホアプリを開発支援するなど活躍は多岐に渡る。
民間企業においてはBIシステム構築を専門としており、首都圏の中堅企業を中心にERPパッケージ導入とそのデータ活用システム構築のアドバイスに実績がある。