改正マンション4法で何が変わったのか
老朽化したマンションの建て替えや大規模修繕を進めたいのに、所有者の合意形成が難しく計画が頓挫してしまう、といった不安を抱えていませんか。2025年5月に改正された「改正マンション4法」は、まさにそうした課題を解決するための法律です。
本記事では、法改正による決議要件の緩和や新設された制度や、マンション管理規約見直しや、建替え・修繕の意思決定に法改正をどう活かすべきかについて解説します。
CONTENTS
01.そもそも改正マンション4法とは?4つの法律の概要
02.なぜ今、法改正が必要なのか?背景にある「2つの老い」問題
03.【重要ポイント】区分所有法の改正で変わる3つのこと
04.その他3つの法律(マンション再生円滑化法など)の主な改正点
05.管理組合が対応すべきこと
06.法改正へのスムーズな対応を支援するマンション管理システムの選び方
07.マンション管理のDX化をサポートするWEBシステム「Smaw」
08.「Smaw」が200社以上の管理会社に選ばれる理由
09.まとめ
10.よくある質問
そもそも改正マンション4法とは?4つの法律の概要
改正マンション4法とは、マンションの管理や再生を円滑にするために、2025年5月に改正された関連する4つの法律の総称です。
具体的には、「区分所有法」を中心として、「マンション再生円滑化法」「マンション管理適正化法」「被災区分所有法」が対象となります。
これらの法律が一体となって、老朽化が進むマンションが抱える様々な課題に対応することを目指しています。
表 4法の違い
| 法律 | 主な対象 | 何を改善する法律か | 管理組合への影響 |
|---|---|---|---|
| 区分所有法 | 区分所有者・管理組合 | マンション内の意思決定・管理 | 総会決議がしやすくなる。 所在不明所有者への対応が可能になる。 |
| マンション再生円滑化法 | 老朽化マンション | 建替え・再生の促進 | 建替え以外にリノベーションや一括売却などが選択できる。 |
| マンション管理適正化法 | 管理組合・管理会社 | 日常の管理運営の適正化 | 管理会社の利益相反チェックや管理体制の見直しが必要になる。 |
| 被災区分所有法 | 被災マンション | 災害後の復旧・再建 | 災害時に建替えや売却等の決議がしやすくなる。 |
【中心となる改正】建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)
区分所有法は、マンションの共用部分の管理や、建て替えなどの意思決定に関する基本的なルールを定めた法律です。 今回の法改正では、所有者不明の部屋がある場合でも決議を進めやすくするなど、合意形成のハードルを下げるための重要な見直しが行われました。
まさに、一連の法改正の中心となるものです。
・修繕などの通常決議を「区分所有者全員」ではなく出席者ベースの多数決で行いやすくした
・裁判所が認定した所在不明所有者を決議の母数から除外できる制度を創設
・所有者不明住戸や管理放棄住戸に対する財産管理制度を新設
・海外居住者向けの国内管理人制度を創設
・共用部分と専有部分を一体的に修繕しやすくする仕組みを整備
・建替え以外に「一棟リノベーション」「敷地売却」「建物取り壊し」などの再生手法を新設
マンション建替え等の円滑化に関する法律(マンション再生円滑化法)
マンション再生円滑化法は、その名の通り、老朽化したマンションの建て替えや建物・敷地売却をスムーズに進めるための手続きを定めています。今回の改正では、「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」から「マンションの再生等の円滑化に関する法律」へと名称も変更されました。
耐震性不足のマンションの建て替え決議要件をさらに緩和したり、解体のみを目的とした新たな制度を創設したりすることで、再生の選択肢を広げ、迅速な対応を後押しします。
・建替え以外の再生手法を制度化
一棟リノベーション
建物・敷地の一括売却
建物取り壊し
・それぞれに対応した事業手続を整備
・隣接地や底地を取り込んだ再開発をしやすくした
・耐震性不足などのマンションでは容積率や高さ制限の特例を拡充
マンションの管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)
マンション管理適正化法は、管理組合の運営を支援し、マンション管理の質を向上させることを目的とした法律です。
具体的には、国や地方公共団体が管理組合に対して助言や指導を行う根拠となります。 改正により、管理が行き届いていない「管理不全マンション」への行政の関与が強化され、問題が深刻化する前に対策を講じやすくなります。
・分譲会社が新築時から管理計画を作成し、管理組合へ引き継ぐ制度
・管理会社が管理者を兼ねる場合の利益相反規制を強化
・自己取引や工事発注時の事前説明義務
・管理不全マンションへの自治体の関与を強化
・合意形成支援を行う民間団体の登録制度を創設
マンションの管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)
被災区分所有法は、地震や水害などの大規模災害によって損壊したマンション(被災マンション)の再建や敷地売却に関する特別ルールを定めた法律で、「被災マンション法」とも呼ばれます。
今回の改正では、建物の大部分が損壊した場合の復旧決議の要件を緩和し、被災後の迅速な合意形成と生活再建を支援します。
・地震や水害などで被災したマンションについて、建替え、売却、取り壊し、一棟リノベーションを行う際の決議要件を緩和
・一定の被災マンションでは3分の2以上の賛成で再生を進められるようにした
・特例適用期間を延長し、災害後の合意形成を支援
なぜ今、法改正が必要なのか?背景にある「2つの老い」問題
今回の法改正が急がれた背景には、日本のマンションが直面する「建物の老朽化」と「所有者の高齢化」という、避けては通れない「2つの老い」問題があります。築40年を超える高経年マンションは年々増加しており、大規模修繕や建て替えの必要性に迫られています。
しかし、同時に所有者も高齢化し、建て替えに伴う費用負担への不安や、そもそも合意形成の話し合いに参加することが難しいケースが増加しました。さらに、相続を重ねるうちに所有者が誰だか分からなくなる「所有者不明住戸」も増え、決議に必要な定足数を満たせないという問題も深刻化していたのです。

【重要ポイント】区分所有法の改正で変わる3つのこと
今回の法改正、特にその中心である区分所有法の改正は、マンション管理のあり方を大きく変える可能性を秘めています。
ここでは、管理組合の役員や所有者が必ず押さえておくべき3つの重要な変更点を解説します。

ポイント1:集会の決議ルールが円滑化され、意思決定が迅速になる
最も大きな変更点の一つが、集会における決議ルールの円滑化です。具体的には、連絡先が分からない「所在等不明区分所有者」や、賛否の意向を示さない「議決権不行使者」を、決議の分母となる頭数や議決権数から除外できるようになります。
これにより、従来は反対者がいなくても所在不明者が多いだけで否決されていたような議案も、可決できる可能性が高まり、大規模修繕などの重要な意思決定が迅速に進められるようになります。
ポイント2:マンションの建て替えや敷地売却の要件が緩和される
建物の老朽化が進み、建て替えが避けられない状況にもかかわらず、その厳しい決議要件が大きな壁となっていました。
今回の改正では、耐震性不足が認定されたマンションなど、特に危険性が高い建物については、建て替え決議の賛成要件が、従来の「区分所有者および議決権の各5分の4以上」から「4分の3以上」へと緩和されます。
これにより、これまで合意形成に至らなかった多くの老朽化マンションで、再生への道が開かれることが期待されます。
ポイント3:管理不全マンションへの対策が強化され、行政の介入も可能に
管理組合の機能が低下し、ゴミ屋敷問題や管理費の長期滞納などが発生している「管理不全マンション」は、周辺環境にも悪影響を及ぼす社会問題となります。
今回の改正では、このようなマンションに対して、地方公共団体が裁判所に管理者の選任を請求できるようになるなど、行政の介入権限が強化されます。
これにより、老朽化し、管理が行き届かないマンションの問題を内部だけで抱え込まず、外部の力も借りて解決を図ることが可能になります。
その他3つの法律(マンション再生円滑化法など)の主な改正点
区分所有法の改正を補完するため、他の3つの法律も重要な見直しが行われました。
マンション再生円滑化法では、耐火性能や耐震性能が不足していると認定されたマンションについて、建て替え決議だけでなく、建物を取り壊して更地にする「除却型」の敷地売却も可能になります。
マンション管理適正化法では、管理不全の兆候があるマンションに対し、行政がより早期の段階で助言や指導を行えるよう権限が強化されました。
また、被災区分所有法(被災マンション法)では、大規模な災害で建物価格の半分以上が失われた場合の復旧決議要件が、従来の「4分の3以上」から「3分の2以上」に緩和され、迅速な復旧を後押しするものとなりました。
管理組合が対応すべきこと
法改正の内容を理解した上で、管理組合としては具体的にどのような準備を進めるべきなのでしょうか。 対応が進んでいない場合、法改正のメリットを最大限に活用するためにも早期に準備を始めることが重要です。
ここでは優先度の高いものを3つご紹介します。

1.現行の管理規約と法改正の内容を照らし合わせ
最初に行うべきは、自分たちのマンションの管理規約を確認し、今回の法改正で変わる点と照らし合わせることです。特に、集会の決議要件に関する条文は重要な確認ポイントです。
国土交通省から新しい法律の内容を反映した「マンション標準管理規約」が2025年10月に改正されました。それを参考にしながら、自分たちのマンションの実情に合った規約に見直すことが求められます。
2.所有者名簿の整備
所在不明者を決議の母数から除外するといった法改正の恩恵を受けるためには、誰が現在の所有者で、誰の所在が不明なのかを正確に把握していることが大前提です。
そのため、正確な所有者名簿の整備が不可欠になります。
所有者が変更された際の届出ルールの徹底や、定期的な連絡先確認の実施など、名簿情報を常に最新の状態に保つための仕組みづくりを検討する案が考えられます。
3.長期修繕計画の再点検
法改正により、これまで合意形成が困難だった大規模修繕や建て替えのハードルが下がりました。これを好機と捉え、改めて長期修繕計画を見直すことが重要です。
現在の計画が建物の実態に合っているか、修繕積立金は適切かなどを再点検し、必要であれば専門家の意見も聞きながら、将来の選択肢を具体的に検討することで、マンションの資産価値を維持・向上させることができます。
法改正へのスムーズな対応を支援するマンション管理システムの選び方
法改正への対応は、所有者名簿の整備や規約変更の検討など、管理組合の業務負担を増加させます。
こうした事務作業を効率化し、円滑な管理組合運営を実現するためには、機能的なマンション管理システムの活用が有効です。
システムを選ぶ際には、法改正のポイントに対応できる機能が備わっているかを確認することが重要になります。
法改正に準拠した会計処理や承認フローを構築できるか
マンション管理適正化法では、管理組合の会計の透明性やコンプライアンス遵守がより一層求められます。
そのため、法改正に対応した会計基準での自動仕訳機能や、支払処理などに関する電子承認フローをシステム上で構築できるかが重要な選定基準となります。
内部統制機能を強化し、適正化法に沿った正確性の高い業務運用を支援するシステムを選ぶことが、適切な組合運営につながります。
マンション管理のDX化をサポートするWEBシステム「Smaw」
マンション管理業WEB型システム「Smaw」は、組合会計とフロント業務を中心に、法改正で重要性が増す長期修繕計画までを統合管理できるWEB型のマンション管理業システムです。
クラウド環境で利用できるため、在宅勤務やモバイルワークなど多様な働き方に対応し、業務の効率化とBCP(事業継続計画)対策を同時に実現します。
煩雑化する管理組合の運営や、法改正に伴う新たな事務作業をデジタル技術でサポートし、スムーズなマンション管理へと導きます。
「Smaw」が200社以上の管理会社に選ばれる理由
200社以上の導入実績を誇る「Smaw」が、多くの管理会社から信頼を得ているのには理由があります。
長年の経験に裏打ちされた機能性、現代の働き方にマッチした柔軟性、そして安心のサポート体制が、その価値を支えています。
40年以上のノウハウを凝縮したマンション管理特化の機能群
「Smaw」は、オフコン時代にあたる1985年から開発・販売されている、40年以上の歴史を持つシステムです。これまでに多くのバージョンアップを重ね、法改正や業界のニーズの変化に常に対応してきました。
長年にわたって蓄積された豊富なノウハウが、会計処理からフロント業務まで、マンション管理に特化した使いやすい機能群として凝縮されています。
クラウド対応で場所を選ばない柔軟な働き方を実現
「Smaw」は、インターネット環境さえあればどこからでもアクセス可能なクラウド型のWEBシステムです。PCへのソフトウェアインストールが不要で、マルチデバイスに対応しているため、オフィスに縛られないテレワークやサテライト勤務を可能にします。
これにより、人材の柔軟な活用や、災害時などの事業継続性の確保にも貢献します。
自社開発ならではの専任部隊によるサポート体制
システムはすべて自社で開発しているため、マンション管理業務を熟知した専任のサポート部隊が一貫して対応します。
まとめ
改正マンション4法は、日本の多くのマンションが直面する建物の老朽化と所有者の高齢化という「2つの老い」問題に対応し、マンションの円滑な管理と再生を促すための重要な法改正です。
特に、区分所有法の改正による集会決議ルールの緩和は、これまで合意形成が困難で停滞していた大規模修繕や建て替え計画を前進させる大きな力となります。
築40年以上のマンションでは、今後の長期修繕計画や建替え検討の進め方が大きく変わる可能性があり、管理組合の理事会は管理規約や総会運営ルールの見直しを検討するケースが増えています。
管理組合は、この法改正を他人事と捉えず、自らのマンションの資産価値を守り、将来にわたって安全で快適な住環境を維持するために、管理規約の見直しや所有者名簿の整備を進めることが重要です。
よくある質問
- Q. 改正マンション4法によって、建て替え決議はどれくらい進めやすくなりますか?
- A. 所在不明者などを決議の母数から除外できるため、合意形成のハードルが下がります。
また、耐震性不足などの要件を満たすマンションでは、決議要件が従来の「5分の4」から「4分の3」などに緩和されるため、これまでより格段に進めやすくなる評価です。
- Q.自分のマンションの管理規約は、法改正に合わせて必ず変更しなければいけないのでしょうか?
- A.法的に義務付けられているわけではありません。しかし、決議要件の緩和など法改正のメリットを享受するためには、規約の変更が必要です。国土交通省が示す標準管理規約を参考に、自身のマンションの実情に合わせて見直すことを推奨します。
- Q.改正マンション4法が適用されるのは具体的にいつからですか?
- A.中心となる改正区分所有法は2026年4月1日に施行されています。 まだ未対応の場合は、規約の見直しや名簿整備などを進めておくことが望ましいです。






