法人税の申告・納付期限と留意点

法人税の申告・納付期限と留意点

1.はじめに

 会社は事業年度が終了すると、確定した決算を基に法人税の申告書作成、提出、納税の義務があります。法人税の申告書提出期限は原則として決算日から2カ月以内とされていますので、多くの3月決算会社は申告書の提出及び納付は5月末までに行わなくてはなりません。今回は法人税の確定申告期限が近付いてきたことに鑑み、今一度、法人税の申告・納付期限の原則と合わせて申告期限延長の特例、及び中間申告制度について見ていこうと思います。

2.法人税の申告・納付期限

(1)原則

 法人税の申告書提出及び納付期限は、上述通り、原則として事業年度終了日から2カ月以内となっています。

(2)申告期限の延長の特例

 法人税の申告書作成は、会計監査人の監査(大会社の場合)と株主総会の承認を受けて確定した決算に基づいて行われることとなります。よって以下に示すように、決算が確定しないため、確定申告書を提出期限までに提出することができない常況にあると認められる場合には事業年度終了日までに税務署に申告期限の延長の特例の申請を行うことにより、申告期限の延長が可能となっています。

申告期限の延長の特例

ケース 延長できる申告期限
定款等又は特別の事情があることにより、事業年度終了日から2ヵ月以内にその事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にある場合 1ヵ月間
(連結事業年度にあっては2ヵ月間)
会計監査人を置いている場合で、かつ、定款等の定めにより事業年度終了日から3ヵ月以内(連結事業年度にあっては4ヵ月以内)にその事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にある場合 税務署長が指定する月数
(4ヵ月を超えない範囲内)
①の特別の事情があることにより、事業年度終了日から3ヵ月以内にその各事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にあることその他やむを得ない事情がある場合 税務署長が指定する月数

 なお、申告期限の延長の特例が認められた場合でも、納税期限の延長は認められていません。即ち、延長期間には利子税が課されます。よって実務上は、法定納期限に見込納付をし、確定申告時に差額を精算することが多いといえます。このとき、見込納付した額が確定納税額に満たなければ、不足部分について利子税が課されます。

(3)その他

 災害等のやむを得ない事態により、提出期限までに申告書を提出できない場合は、その災害等の規模や状況に応じて、国税庁長官又は税務署長が申告期限を指定することになります。この場合は(2)の場合と異なり、延長期間に対応する利子税は課されません。

3.中間申告・納付

(1)必要な場合

 中間申告は前事業年度の法人税額が20万円を超えた場合に必要となります。

(2)期限

 中間申告書の提出と納付は、事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内に行わなければなりません。例えば、3月決算の会社の場合、9月末が中間決算日であり、11月末が中間申告書の提出及び納付期限となります。

(3)税額計算方法

 中間申告の税額計算には、①予定申告方式と②仮決算方式の2種類があり、選択可能です。

①予定申告方式

 前年度の税額を基礎として中間申告税額を計算する方法です。具体的には、前事業年度の確定法人税額を前事業年度の月数で割って、これに6を乗じて計算します。よって一般的には、前年度実績×1/2 が納付額となります。計算が簡便であるため、実務上多くの会社がこの予定申告方式を採用しています。

計算例)前事業年度(2018年4月1日から2019年3月31日)の法人税額120万円の場合
中間報告額=120万円÷12ヵ月(前事業年度の月数)×6ヵ月=60万円
②仮決算方式

 事業年度開始の日から6か月間を1事業年度とみなして、仮決算を行い、所得額と納税額を計算する方法です。この点、算出した税額が前事業年度の確定法人税額の12分の6を超える場合には、当該方法は選択できず、予定申告方式による中間申告を行うことになります。これは還付加算金(還付金につく利息)目的に過大な金額で中間納付することを防ぐ趣旨といえます。仮決算方式は、手間がかかるため採用する会社は少ないですが、今年度が赤字、又は前年度と比較して大きく減益となる場合などは、予定申告方式よりも、中間申告時のキャッシュアウトを抑えることが可能となるため、資金繰りの観点から利用を検討すると良いと思います。

 なお、中間申告をしなければならない法人が、中間申告期限までに申告しなかった場合、自動的に予定申告によって中間申告されたものとみなされ(みなし申告)、前年度実績の1/2の金額を納付しなくてはなりません。

4.申告内容を間違えていた場合

 では、申告書提出後に計算誤りや申告内容誤りに気が付いた場合、申告内容を訂正することができるのでしょうか。

(1)税金を少なく申告した場合

 「修正申告」により、可能な限り早く、正しい税額に修正行うことが求められます。国税局や税務署からの指摘により修正申告することになった場合は、併せて加算税が課される場合があります。また修正申告によって納付すべき新たな税額は、法定納期限の翌日から納付日までの期間について、延滞税がかかる場合があります。

(2)税金を多く申告した場合

  「更正の請求」により、正しい税額への訂正を求めることができます。請求内容が正当と認められた場合は、納めすぎた税金が還付されます。更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内とされています。

5.申告を忘れていた場合

 申告自体を忘れていた場合は、「期限後申告」により、可能なかぎり早く申告することが求められます。期限後申告をしたり、税務署から所得金額の決定を受けた場合は、納めるべき税金の他に加算税がかかる場合があります。また法定納期限の翌日から納付日までの期間について、延滞税がかかる場合があります。

6.おわりに

 今回は会社の法人税の申告に係るトピックとして、法人税の申告・納付期限や申告期限の延長の特例、中間申告制度などについてご説明いたしました。法人税は会社にとって最も重要性の高い税金といえるでしょう。今一度、会社のスケジュールと合わせて採用可能な方法を再確認し、会社にとって有利な時期や方法を選択できるよう、参考としていただければ幸いです。

執筆者
汐留パートナーズグループ
汐留パートナーズ税理士法人
代表社員 税理士 長谷川 祐哉
埼玉大学経済学部卒業。2015年税理士登録。
企業会計を中心とする深い知識により、顧客との強固な関係を築くのに成功している。
グローバル企業や上場会社及び上場準備会社に関する税務を担当している。

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