RPA を活用した業務の自動化による働き方改革

青山システムコンサルティング株式会社
池田 洋之氏

RPA を活用した業務の自動化による働き方改革

2018年6月29日、働き方改革法案が参議院本会議で、自民・公明、日本維新の会などの賛成多数で可決され、成立しました。
近頃注目されているRPAはERP等でシステム化が難しかったバックオフィス業務の自動化が可能であり、業務効率向上の有効な手段となり得ます。
当セミナーでは、IT投資戦略策定を支援するシステムコンサルタントの視点でRPAを解説頂き、導入の注意点をお話し頂きました。

 目次 

RPAとは
 -RPAとは
 -RPAが注目される背景
 -生産性向上で注目が集まるRPA
 -RPA は仮想労働者と考えるとわかりやすい
 -RPAに何ができるか
なぜ RPA が注目されるのか
 -RPAツールの成熟
 -業務システムや EUC との比較
 -システム化を諦めていた業務にも有効
RPAの適用事例
 -RPAの効果:コンプライアンス・リスク関連業務に導入
 -RPAの効果:レンタカー予約の受付業務に導入
 -RPAを使った経費精算
 -RPAのシステム構成イメージ
 -RPA適用例:受注処理に威力を発揮
 -RPA適用例:トラブル発生時の在庫処理にも有効
 -RPA適用例:店舗売上データ登録を自動化
 -RPA適用例:人事異動に伴う手続きを自動更新
RPA導入の留意点
 -RPA導入の留意点:投資効果の判断
 -RPA導入の留意点:導入前の効果測定
 -業務の可視化:業務調査票へ記入
 -業務の可視化:業務フロー図の作成
 -適用対象の留意点:あくまで定型作業が対象
 -管理・運用の主管部署
 -RPAの主管部門の例
 -RPA製品選定の基準
 -RPA製品特性を見極める
まとめ

RPAとは

RPAとは

RPAはRobotic Process Automationの略で、ロボットで定型作業を自動化する仕組みのことです。ロボットといっても、AIのような高度な判断はできません。単純作業を自動化するのが、せいいっぱいです。
 例えば、伝票入力、経費精算入力、給与・勤怠集計など事務処理といわれる業務によく使われます。事務作業の効率化に役立つほか、人間ではなく機械で処理しますから作業ミスが少なくなり、低コスト・短期間で自動化できるといったメリットがあります。

RPAが注目される背景

人手不足により残業が多くなり、従業員の疲弊、人件費負担の増加といったマイナス面が顕著になってきました。労働時間は減らしたいが、雑務が多く、本来やるべき創造的な仕事が、なかなかできません。そこで雑務減らしの切り札としてRPAに注目が集まっています。

生産性向上で注目が集まるRPA

RPAの市場規模の推移を見ると、2017年あたりから製品導入が始まり、2018年は大きく増加しました。2021年には現在の市場規模の2倍になると見られています。大手銀行や保険会社など業務処理が多い企業で導入され、マスコミでも報道される機会が増えてきました。

RPA は仮想労働者と考えるとわかりやすい

RPAの一番わかりやすい捉え方は「仮想労働者」です。たとえば、インターネットで検索し、検索結果をコピーしてERPのような会計システムに張りつけて、さらに別の帳票に張りつけるといった単純作業に、よく使われます。人が行った画面操作(作業)を忠実に記録し、記録した操作をRPAが実行するわけです。RPAは労働者の現場派遣と似ており、業務システムの導入とは少し違います。

RPA は仮想労働者と考えるとわかりやすい(講演資料:RPA を活用した業務の自動化による働き方改革より)

RPAに何ができるか

WindowsアプリやWEBアプリなどの「業務システムの操作」に加え、会計システムや販売システム、情報システムなど「社内のシステム間連携」、情報共有サービス、社外のクラウドサービスとの連携など「社外システム間連携」、競合他社の製品の価格・スペックを調べるなどの「インターネット情報収集」、いろいろなファイルを定型的に集めて集計する「数値集計」などに使われます。

なぜ RPA が注目されるのか

RPAツールの成熟

RPAが注目を集めている理由はRPAツールが成熟してきたからです。RPAは先進的な技術ではなく、昔からある技術を使っています。BPMツールやシステム・サーバー運用などの定型的な作業を自動化するツールがRPAツールとして採用されました。

使い勝手もよくなりました。昔の自動化製品は画面上の絵を座標で識別していました。画面デザインが少し変わると、うまく識別できず、誤動作の原因になりました。最近の製品はテキストボックスなどのオブジェクト識別ができ、多少のレイアウト変更があっても、しっかりと捉えることができます。応用範囲が広がり、いろいろなものに使えるようになりました。

業務システムやEUCとの比較

EUCとはユーザーが自分でExcelやAccessを使って効率化することで、End User Computingの略です。自動化対象を比較すると、RPAはWindowsやWEBアプリなど社内・社外問わず、いろいろなものの操作ができます。業務システムも、いろいろとできますが、社外システムとの連携は難しい。EUCはExcelやAccess、VBAなどを対象にします。
 開発方法、開発コスト・期間、システム関連の比較は図の通り。従来は費用やシステム基盤の違いからシステム化・自動化ができなかった部分がRPAを導入することで可能になりました。

業務システムやEUCとの比較(講演資料:RPA を活用した業務の自動化による働き方改革より)

システム化を諦めていた業務にも有効

クラウドサービスなど他社システムと連携している業務などシステム化を諦めていた業務にもRPAは有効です。

システム化を諦めていた業務にも有効(講演資料:RPA を活用した業務の自動化による働き方改革より)

RPAの適用事例

RPAの効果:コンプライアンス・リスク関連業務に導入

三井住友フィナンシャルグループではコンプライアンスやリスク関連業務などに適用、約200業務で40万時間の業務量削減ができました。UiPathという製品を使っています。

RPAの効果:レンタカー予約の受付業務に導入

オリックスグループもRPAを適用し、1.2倍の業務量増加に3割少ない人員で対応しました。RPAを開発したメンバーはITの専門家ではなく、普通の人たちです。適用範囲の広さ、業種・業態を問わずいろいろな業務に使えること、導入の容易さがわかります。

RPAを使った経費精算

「AutoMate」を使った経費(交通費)精算の事例を紹介します。Excelで移動経路を人が書くと、RPAが読み取ってインターネットで運賃を検索し、結果をファイルに書き込みます。

RPAのシステム構成イメージ

RPAの構成は利用者のPC、ロボットの開発環境、RPAからなります。ロボット開発環境でシナリオをつくり、つくったロボットを利用者のパソコンに配置します。いろいろなPCに配置すると、どこに何があるかわからなくなるので、管理サーバーで一元管理できるようにします。

RPA適用例:受注処理に威力を発揮

受注処理はRPAの得意業務です。従来はインターネットサイトやメールで注文がくると、人がサイトを見たり、メールを開いてコピーしたりしてデータを加工、基幹システムや販売システムに登録していました。RPAは自動でWEBを見に行き、メールを受信して開封。データを加工し、システムに登録、さらにお客さまにメールして納期を回答するといった作業を行います。

RPA適用例:受注処理に威力を発揮(講演資料:RPA を活用した業務の自動化による働き方改革より)

RPA適用例:トラブル発生時の在庫処理にも有効

生産設備に事故や故障が発生した際、IoTデバイスが故障を感知。クラウド上にデータを吸い上げ、事務所のパソコンに通知すると、RPAが感知して担当者にメールを送ります。さらにRPAはシステムを開き、在庫を確認し、出荷キャンセルなどの作業を行います。人の移動が必要なくなるので、自動化・作業負荷の低減が進みます。

RPA適用例:トラブル発生時の在庫処理にも有効(講演資料:RPA を活用した業務の自動化による働き方改革より)

RPA適用例:店舗売上データ登録を自動化

形式の異なる複数の店舗を運営している場合、いろいろなPOSを使わざるを得ないことが多い。POSデータのフォーマットが会社ごとに違うので、フォーマットを変換するのに人手に頼っていました。RPAなら簡単にシステムをつくれますので、フォーマット変換とシステム登録を自動化することができます。

RPA適用例:店舗売上データ登録を自動化(講演資料:RPA を活用した業務の自動化による働き方改革より)

RPA適用例:人事異動に伴う手続きを自動更新

人事異動があると、いろいろなシステムの内容を設定変更しなければいけません。通常はシステムごとに手入力で対応していますが、RPAを導入すれば、人事異動情報を読み取り、各システムの情報を自動更新します。

RPA適用例:人事異動に伴う手続きを自動更新(講演資料:RPA を活用した業務の自動化による働き方改革より)

RPA導入の留意点

RPA導入の留意点:投資効果の判断

RPAを導入する際の留意点として第1に投資効果の判断です。RPAの効果は業種、作業のやり方、会社によっては効果が出ないケースもあります。単純にRPAさえ導入すれば、すべてがうまくいくわけではありません。導入前に、どの程度の工数削減や業務改善が見込めるのか、きちんと検証する必要があります。

RPA導入の留意点:導入前の効果測定

第2に管理部門などが中心になって一気に導入する場合、業務の可視化に取り組む必要があります。業務調査表と業務フローを作成し、どの業務にRPAを適用するかを明確にします。次に作業工数を、どの程度削減できるかを算出し、導入の是非を検証するわけです。

業務の可視化:業務調査票へ記入

業務調査票を全社員に配り、1カ月間に、どのような業務を行ったのか、ざっと書いてもらいます。すべての作業を書き出し、各業務の作業量と作業時間も記入します。

業務の可視化:業務フロー図の作成

次に業務フロー図を作成します。業務の流れを描き、業務のどの部分にRPAを適用するかを決めます。

適用対象の留意点:あくまで定型作業が対象

RPAが代行するのは、あくまでも定型作業です。人の判断が必要なことはできません。システムのすみ分けを見ていくと、ERPや基幹システムは定型業務ですが、処理量が多く、複雑なシステムなので、RPAの対象にはなりません。RPAには複雑な処理はさせないことが重要です。定型部分で業務量が少なくて手作業だった部分、業務量は多いが、システム化されずに放置され、手作業で対応してきた部分にRPAを適用すべきです。

適用対象の留意点:あくまで定型作業が対象(講演資料:RPA を活用した業務の自動化による働き方改革より)

管理・運用の主管部署

主管部署がなくても導入できますが、現場任せにすると管理の目が行き届かず、ブラックボックス化するなど、いろいろなリスクが顕在化します。操作が本当に見えなくて、勝手に進んでいく分、不具合が極大化するケースも多い。きちんと管理・運用する部署を設置する必要があります。

RPAの主管部門の例

候補はIT部門や業務統括部門、経営企画部門など、いろいろありますが、業務統括部門が一番いいのではないかと思います。全社最適の視点でRPAを管理・統括し、業務改善の視点を持って、実際に利用する部門に対して指導・統制します。IT部門は技術的な支援に徹します。業務統括部門が統括するメリットのひとつは経営層とコミュニケーションする機会が多く、経営戦略などを踏まえてRPAを活用できることです。

RPAの主管部門の例(講演資料:RPA を活用した業務の自動化による働き方改革より)

RPA製品選定の基準

製品の選定ミスをすると、以下のようなリスクが顕在化します。例えば、難易度が高いものを選ぶと、そもそもロボットの開発ができないケースもあります。また、海外の製品にはサポート体制が十分でないため、技術的な支援が受けられず、うまく活用できないケースも散見します。製品による得意・不得意があり、こうした基準に留意しながら、見極めることが重要です。

RPA製品特性を見極める

特に留意が必要な製品特性をまとめました。どれを選ぶかは企業のITリテラシーに照らし合わせて考えるべきです。ITリテラシーがさほど高くないなら、サポート体制がしっかりしているところを選びましょう。

RPA製品特性を見極める(講演資料:RPA を活用した業務の自動化による働き方改革より)


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